日本のセルビッジデニムの歴史
戦後から復興期 ― アメリカ文化への憧れ
第二次世界大戦後、日本に進駐した米兵が穿いていたジーンズは、日本の若者にとって強烈な憧れの象徴となりました。しかし当時、日本で国産のデニム生地はまだ存在せず、輸入品や古着のジーンズを身に着けることが主流でした。
そうした状況の中、高度経済成長とともに「国産ジーンズを作りたい」という動きが高まります。
繊維産業が盛んな岡山県倉敷市児島や広島県福山市などで研究が進められ、ついに国産デニム生地が誕生しました。こうして、日本独自のデニム産業が幕を開けたのです。
1970〜1980年代 ― 旧式織機とセルビッジデニムの復活
1970年代に入ると、大量生産の波に押され、セルビッジデニムは市場からほぼ姿を消してしまいます。
しかし1980年代の終わりごろ、かつてのセルビッジデニムの風合いを再現したいという思いから、岡山・児島や広島・福山の職人たちが旧式織機を復活させ、本格的に稼働を始めました。
アメリカでもすでに廃棄されていた豊田自動織機「GL-9」などを蘇らせ、再びセルビッジデニムを織り始めたのです。
これこそが、今日世界で高く評価される日本のセルビッジデニム誕生の物語です。
1990年代以降 ― 世界へ広がるジャパンデニム
1990年代に入ると、アメリカやヨーロッパのデニム愛好家たちが「日本のデニムはすごい」と注目し始めます。
その背景には、児島や福山の職人たちが復活させたセルビッジデニムの高い品質、そして独自のインディゴ染色技術がありました。
当初は「いかに1940〜50年代のヴィンテージデニムの風合いを再現するか」をテーマに作られていたセルビッジデニムも、やがて各ブランドが独自の世界観を打ち出すようになり、「日本のセルビッジデニム」というジャンルを確立していきます。
現在では「ジャパンデニム」という言葉が世界で通用し、アメリカやヨーロッパの有名デニムブランドが日本製生地を採用するほどに。
こうして日本のセルビッジデニムは、過去の復刻から未来の創造へと進化を続けています。
日本のセルビッジデニムの特徴と魅力

日本の職人技と旧式織機の風合い
日本のセルビッジデニムの大きな特徴は、現在ではほとんど使われなくなった旧式の「シャトル織機」でゆっくりと織り上げられている点です。
シャトル織機は1日に織れる量が限られ、効率は現代のレピア織機の10分の1以下と言われています。
しかし、このゆっくりとしたテンションで織られることで、独特の凹凸感やムラが生まれ、表情豊かなデニム生地が織り上がります。
その結果、穿き込むほどに身体への絶妙な馴染みや、立体的で深みのある経年変化を楽しむことができるのです。
世界最高水準の染色技術
日本のデニムが高く評価される理由のひとつに「染色技術」があります。
特に「ロープ染色」と呼ばれる手法は、日本のデニム工場が高度に磨き上げてきたものです。
糸の芯を白く残したまま表面だけをインディゴで染めることで、穿き込むほどに濃色のインディゴブルーから芯白部分のホワイトへと、美しいグラデーションの色落ちが生まれます。
また、日本には古来より「藍染文化」があり、その美意識がデニムにも息づいています。深く濃いインディゴブルーを表現する技術は、まさに日本ならではの魅力です。
長く愛用できる耐久性と経年変化
旧式のシャトル織機でゆっくりと丁寧に織られた生地は耐久性が高く、着用と洗いを繰り返すことで独自の表情を刻みます。
これはまさに自分だけのデニムを育てる体験であり、世界中の愛好家を魅了してやみません。
日本のセルビッジデニムは「単なる生地」ではなく、職人の思想が込められたクラフトマンシップの結晶なのです。
Klaxonで扱うJapanese Denimブランド
The Strike Gold(ストライクゴールド)
The Strike Gold(ストライクゴールド)は、「最高の普通」をコンセプトに掲げ、1950年代のアメリカンカルチャーの精神と、日本の緻密な職人技を融合させたブランドです。
トレンドに流されることなく、本質的な価値を追求し続ける姿勢が特徴で、穿く人とともに時間を重ねることで、ジーンズは唯一無二の存在へと育っていきます。
ダメージ加工を施さない生デニムだからこそ、穿く人の生活や習慣が色濃く刻まれ、世界に一つだけの表情を生み出すのです。
The Strike Gold(ストライクゴールド) おすすめな方
深い色落ちや味わいを重ねながら、持ち主だけの存在感を放つ一本に育てたい方におすすめです。
初めて本格的なデニムに挑戦する方はもちろん、長年穿き込み、自分だけの経年変化を楽しみたい方まで、幅広い方に愛されるブランドです。
The Strike Gold SG2103 Tough Series 17oz Selvedge Jeans - Classic Straight

Sugar Cane(シュガーケーン)
Sugar Cane(シュガーケーン)は、ヴィンテージのワークウェアから強い影響を受け、実用性を重視したデニム作りを行うブランドです。
旧式の製法を忠実に再現するだけでなく、自社で独自の生地開発にも取り組み、クラシックでありながら新しい価値を持つ一本を生み出しています。
その姿勢は、アメリカンワークウェアへの敬意と、日本の職人による緻密なクラフトマンシップの融合ともいえるでしょう。
Sugar Cane(シュガーケーン)おすすめな方
レプリカ系のスタイルやワークウェアを好む方に特におすすめです。
本格的でクラシックな雰囲気をまとった一本を求める方にとって、Sugar Caneは理想的な選択肢となるでしょう。
SC41947A SUGAR CANE 14.25oz. STANDARD DENIM 1947 MODEL (REGULAR STRAIGHT)

STUDIO D’ARTISAN
1979年の創業以来、STUDIO D’ARTISAN(ステュディオ・ダルチザン)は、ヴィンテージへの深い敬意と独自の解釈を融合し、新しい価値を生み出し続けてきた日本のデニムブランドです。
伝統を守りつつも自由な発想を取り入れることで、単なる復刻にとどまらず、オリジナルをも凌駕する「MADE IN JAPAN」のクラフトマンシップが息づく一本を届けています。
STUDIO D’ARTISAN おすすめな方
旧式の力織機で織られた生地が生み出す独特の硬さやムラ感、そして豊かな色落ちを楽しみたい方に最適です。
デニムに独自の世界観を求める方にとって、STUDIO D’ARTISANはまさに理想の一本となるでしょう。経年変化を重ねることで、唯一無二の表情豊かなデニムへと育ちます。
SP-084 / STUDIO D'ARTISAN 15oz 45th Anniversary "Tokushima Hinode-Awa Shoai" Regular Straight Jeans

TENRYO DENIM(天領デニム)
TENRYO DENIM(天領デニム)は、岡山の伝統的なデニム作りと現代的なアプローチを融合させたブランドです。
クラシックなセルビッチデニムはもちろん、ストレッチ性を持たせたイージーパンツなど、日常に取り入れやすいモデルも数多く展開しています。
伝統を守りながらも快適性や機能性を追求する姿勢が、多様なライフスタイルに寄り添っています。
TENRYO DENIM(天領デニム)おすすめな方
モダンなシルエットや快適な穿き心地を重視したい方におすすめです。
デイリーユースでも扱いやすく、クラシックと現代性をバランスよく楽しみたい方に最適です。
Color Revolution Stretch Denim Climbing Pants

Color Revolution Jeans Slim Straight

Klaxonで扱うJapanese Denimブランド|選び方ガイドまとめ
Klaxonでは、それぞれのブランドが独自の哲学とスタイルを持ち、デニムの楽しみ方やデザインの嗜好によってお気に入りの一本を選ぶことができます。
まとめると、経年変化と穿き込みの楽しみを最重視したい方 → The Strike Gold(ストライクゴールド)ヴィンテージ感と風合いを楽しみたい方 → Sugar Cane(シュガーケーン)独創的なデニムを体験したい方 → STUDIO D’ARTISAN(ステュディオ・ダルチザン)
他にない色味のニュアンスや履き心地を重視したい方 → TENRYO DENIM(天領デニム)
この視点で選べば、自分のライフスタイルに合った一本にきっと出会えるはずです。
日本のセルビッジデニムの魅力を Klaxon で体感しよう
日本のセルビッジデニムは、戦後の憧れから始まり、職人たちの努力と探究心によって世界に誇る文化へと発展してきました。
旧式織機が生み出す豊かな表情や、日本独自の染色技術、そして長年穿き込むことで育まれる経年変化――。そのすべてが「ジャパンデニム」と呼ばれる特別な存在を形作っています。
Klaxonでは、The Strike Gold、Sugar Cane、STUDIO D’ARTISAN、TENRYO DENIMといった個性豊かなブランドを取り揃えています。
ぜひ、自分のライフスタイルや価値観に合った一本を見つけ、時間とともに育てていく楽しさを味わってみてください。